ふと顔を上げると、いつだってそこにある。ーハイライン

 

四国の田舎で生まれ育った私の傍には、いつも自然が溢れていた。

川の水は当たり前に透明だし、山や田んぼもそこら中にある。

 

ふと思えば、マンハッタンには山がない。

川の水は、私の地元で例えると台風が通ったあとくらい汚く濁っている。

ちなみにニューヨークのオアシスであるセントラルパークは、景観を考慮して人工的に造られたものらしい。

自然というものは、「景観を考慮」して造られるくらい、人間にはなくてはならないものなのだろう。

 

 

ダウンタウンハドソンリバー沿いに、使われなくなった列車の高架線をリノベーションして造られたのが空中公園「ハイライン」。

約2kmもの遊歩道に草木や花が植えられていたり、残された古い線路が味を出していて、なんともリラックスできる場所だ。

ところどころにアートも散りばめられていて、公園からアイデアが溢れている。

高いところからマンハッタンの街を楽しむことができるのも楽しい。

 

 

ハイラインに上がるとすっかり夕方だったが、雨が上がり、気持ちの良い風が吹いている。

知らぬ間に気を張ってしまっていたのだろうか、突如なんとも言えない開放感に見舞われた。

 

何も考えず、ただ風を感じながらしばらく空中公園を歩いていると、ふと我に返る。

すっかり日も暮れたし、一旦ホテルに戻って、次はエンパイア・ステート・ビルディングに上ろう。

スマホを取り出してホテルへの道をマップで調べようとしたが、すぐにやめた。

 

顔を上げると、そう遠くない距離に、すでにライトアップされたエンパイアの姿が見える。

ホテルはエンパイアのすぐ近くだ。

「最高の目印だね」と同行者と笑い合った。

ホテルに帰りたければ、エンパイアを探せばいい。

堂々と聳えるその姿は、マンハッタンのどこにいても見つけることができるだろう。

 

今思うと、私にとってエンパイア・ステート・ビルディングはホテルへの「目印」だけではなかった。

今後の私の人生の、「きっかけ」でもあったのだ。

道に迷ったら顔を上げよう。

大好きなものは、きっと私を導いてくれるはずだから。 

 

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